子どもの語彙力を育てる「本の選び方」

家庭学習

赤ちゃんの頃から何千回と読み聞かせをしてきたからか、兄弟はどちらも本が好きです。
ゲームやテレビの方が好きですが、朝ごはんの前や寝る前、雨の日などは、だいたい兄弟そろって読書をしています。
最近は、女の子向けと思い興味を示していなかった「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」に今更ながら兄弟そろって熱中し、空き時間はずっと読んでいます

放課後は外遊びばかりで読書の時間がないので、朝が苦手な1年生の次男まで、いつもより30分以上早起きして読みふけっている状態です。
人気の本なので図書館では予約待ちで、届くたびにせっせと借りに走っています。

過去3年間で読んだ本は1500冊

我が家の読書本は、ほとんどが地域の図書館で借りてきたものです。
図書館のホームページで登録したアカウントに入ると、過去の読書記録(=借りた本の数)が分かるのですが、2019年4月からの約3年間の読書記録はこうでした。

長男:541冊
次男:775冊
私:288冊 (子どもの貸出カードを忘れた時などに、私の登録で借りていた)
合計:1604冊 


この数の中には、気に入ったものを数回借りて重複していたり、私自身が読む本や、長男が読む漫画なども含まれますが、
逆に、借りて帰らず図書館で読んだり、学校の図書室でも週に1回数冊を借りられたり、購入することもありますし、兄弟がお互いが借りたものもほとんど読むので、
3年で少なくとも1500冊は読んでいます

語彙力を育てる本の選び方①様々なジャンルやテーマから選ぶ

手元にある本を並べてみると、意外とジャンルやテーマが偏っていませんか?
子どもが小さなころに読む絵本は、どうぶつや自然、子どもや乗り物などが主役で、身の回りの出来事やちょっとした冒険がテーマのものが多く、それは情緒の発達にとても大切だと思います。

そういった本も大切にしつつ、より多くの言葉に触れるために、意識的に様々なジャンルやテーマから本を選んでみてください

子どもとの会話も広がるし、語彙もどんどん増えます。

ジャンル、テーマの例
・昔話、名作、童話
・伝記
・ファンタジー
・歴史
・恋愛
・怖い話
・ユーモア
・平和や戦争
・季節や行事
・自然

・宇宙
・海外の絵本の翻訳版
・図鑑       などなど。

語彙力を育てる本の選び方②様々な種類の登場人物が出てくるものを選ぶ

子どもはやはり、子どもが出てくるお話や、他には「お母さん」「家族」「どうぶつ」が出てくるお話を好みますが、
例えば「おじいちゃん」「江戸の町人」「船の操縦士」などがでてくると、使う言葉や出てくる用語が全く変わっています

子どもが興味を示す範囲で、様々な種類の登場人物が出てくるものを選ぶと、自然と多くの言葉に触れられますし、様々なタイプの人へ 興味を持つきっかけにもなります。

様々な種類の登場人物がでてくるお話
・職業を取り上げたお話
・歴史や伝統のお話
・地方や方言が出てくるお話
・昔ばなし

語彙力を育てる本の選び方③出版年が古いものを選ぶ

昔ばなしや童話や伝記などは特に、出版年が新しいものほど、現代の「話し言葉」(例えば「いろんな」「~じゃない」「~みたいな」「ら抜き言葉」など)が使われていたり、誰にでもわかる簡単な言葉に置き換えられていることがあります。

とにかく物語に触れてほしい、中々読書をしない子に自分で読んでほしい、などの場合は、読み進めやすくてよいと思いますが、語彙力を育てるという目的から、わたしはあまり選びません。

例えば、少し前から「ナルニア国ものがたり」を読み聞かせしているのですが、出版社や出版年の違いで、使われる言葉が全く違います
一部抜粋して比較してみます。

四人が、不思議な衣装だんすの戸をあけて、なかにはいると、このわたしたちの世界とまるでちがった世界にはいっていて、そのナルニアという国で、長いあいだ王、女王になった話です。そのナルニアで、たいへん長い年月、政治を行っていましたのに、また衣装だんすの戸を通ってイギリスに帰ってきてみますと、そのあいだに少しも時間がたっていないように思われたのです。
ー岩波書店の岩波少年文庫からに出版「カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉」(2000年)より

四人は、魔法の洋服だんすのとびらをあけて別世界へ行き、ナルニアという国の王さまと女王さまになったのです。ナルニアにいたあいだ何年も何年も王座についていたはずなのに、その後またとびらを通ってイングランドに帰ってきてみると、なぜかまったく時間がたっていないようなのでした。
ー株式会社KADOKAWAの角川つばさ文庫「新訳 ナルニア国物語 (2)カスピアン王子と伝説の角笛」(2018年)より。

角川つばさ文庫の文章は整っていて読みやすく、子どもにも抵抗がないと思います。
逆に岩波少年文庫の文章は古めかしく、とっつきにくい印象ですが、我が家で読み聞かせに借りたのはこちらです。

子ども自身が読むには、特に次男にはまだ難しいですが、読み聞かせをしていると、毎回30分以上 真剣に聞いていますし、古い言葉に対しても「せがれってなに?」「フシマワシってなに?」など頻繁に質問されます。
また、普段の子どもの読み物には出てこない言葉や言い回しによって、本の中の世界観をより感じられると思っています。

どちらの方がいい、悪いということではなく、読書をする理由や、子ども自身の好みが一番なのですが、語彙力を育てるという意味では、こういった視点で本を選ぶのもおすすめです。

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